【ドイツの反応】FPDトーマス・ケンメリヒ氏がチューリンゲン州首相選当選も即辞任!極右AfDの票を得たため

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今回は、ドイツ政治に関する話題です。

ドイツ東部のチューリンゲン (Thüringen) 州の州首相に極右政党「ドイツのための選択肢」(Alternative für Deutschland; AfD) の票を得た自民党 (Freiheitlich Partei Deutschlands; FPD) の候補者、トーマス・ケンメリヒ (Thomas Kemmerich) 氏が当選してしまうという、ドイツの近代史史上最も恥ずべき事態のうちの1つと言っても過言ではない出来事が先週起きました。

英語で報道しているドイツの国際的なメディア「Deutsche Welle (ドイチェ ヴェレ)」でも記事が公開されていました。記事の一部を下記に訳して引用として使用させて頂きます。

党首は、自民党員は先週の物議を醸す選挙結果を「恥ずかしく」思っていると述べた。更に、事態を更に分析するための作業部会を設置する意向を表明した。

DEUTSCHE WELLE, NEWS, “FDP leader Lindner apologizes in Bundestag debate over Thuringia“, Date 13.02.2020

ドイツ政治のキホン

ドイツ政治に馴染みのない方への解説も含め、何が起きたのか簡単におさらいしてみましょう。

まず、日本語で「ドイツ連邦共和国」というだけにドイツは16個の州(ブンデスランド; Bundesland)から構成される連邦国家です。それぞれの州は主権を持っていて、独自の州議会があり州首相(ミニスタープレジデント; Ministerpräsident)がいます。

各州が独立していることを感じられる身近な例を挙げてみましょう。

例えばドイツでは祝日や学校の休暇期間は州によって異なります。日本では少なくとも祝日は全国どこでも同じですよね。「関東のみの祝日」とか例えば存在しませんよね。ドイツではそれが存在する、ということになります。

今回話題になっているドイツ東部のチューリンゲン州(ライプツィヒやドレスデンがあるザクセン州の西側に隣接する州)も、もちろんそれら16州のうちの1つです。

チューリンゲン州州首相選でのスキャンダル

2月5日にチューリンゲン州で州首相を選出するための選挙が行われました。その結果が、なんと誰もが皆「とりあえず彼は絶対に当選しないだろう」と考え頭の片隅にもなかったFPDの候補者が、なんとAfDが彼に投票したことにより総計の得票数で他の候補者をわずかに上回り当選してしまったのです。

ケンメリヒ氏ご自身はFPDの方なので極右の政治家ではありません。ただ、今回「AfDが投票してくれたおかげで当選できた」というわけで、要は極右にサポートされた、極右の息のかかった州首相ということになってしまいました。

そのためドイツでは大スキャンダルとなりました。ソーシャルメディアでもハッシュタグチューリンゲン「#Türingen」の嵐。私はその日夜になるまでニュースを詳細に確認していなかったので、チューリンゲンで大きなテロや殺人などが起きたのかと思い、かなり不安に感じていました。

他のリベラルな党や国民たちからの大ブーイングを受け、ケンメリヒ氏は2月8日に正式に辞任を表明。州首相としての在任期間はおよそ数日間と、ドイツでは史上最短の在任期間を誇る州首相となったのでした… (^_^;)

ドイツに住む日本人として今回の事態から学んだこと

今回の出来事を通じて、ドイツ人の政治に対する熱心さと、歴史的過ちに対する真摯さ、そしてそれを二度と繰り返さないという確固たる意志を再確認しました。

政治に対する熱心さ

日本人は、そもそも政治にあまり関心のない層が多いですよね。特に若い世代などは、投票に行ったことがない人も多いかと思いますし、若者が熱心に日本の政治について議論する光景もあまり見たことがありません。

逆にドイツは老若男女皆があまねく政治に関心を持っています。特に若者も、熱心な人が大多数です。

例えばオフィスで同僚とかわすスモールトークでも政治の話題は日常茶飯事。「自分の生活に直接影響がある」と考えるからこそ、積極的に携わりたいと思うのでしょう。デモも定期的に開催されますし、投票も候補者を事前に綿密に吟味した上で、自分なりの戦略を持って毎回ちゃんと投票に行きます。

歴史的過ちに対する真摯さ&二度と繰り返さないという確固たる意志

日本は歴史的に近隣諸国への加害者であると同時にアメリカの原爆による大きな被害者でもあることから、ドイツほどにはっきりと「自分たちは悪だった」と認める風潮が薄いように感じます。

ドイツには、世界の誰もが嫌がる「ナチス」「ヒトラー」というわかりやすい負の歴史がある。それに比べると例えば日本の東條英機は、世界的にヒトラーほど有名でないのはいうまでもないでしょう。

日本が歴史的過ちに対して真摯でないとか、二度と繰り返さないという意志が弱いとか、そういうことを言いたいのではありません。ただ、ドイツ人からの方が単純にこのような姿勢を遥かに強く感じる、というだけです。

もちろん、感情や意見をはっきり表すという国民性もあるでしょう。日本のことを否定する気は全くありませんが、今回純粋に、リベラルなドイツ人のこういう姿勢は見ていてすがすがしいし評価に値するなと思いました。

(ドイツ人について、ビミョーと思うことも少なからずあるのは確かですが。)

今回のチューリンゲンのスャンダルを受けてドイツが排他的な国に逆戻りしてきていると危機感を感じる人々も少なからずいるようですが、私は逆にこんなにもリベラルな国であり続けることに必死な、極右の思想を断固嫌うドイツという国に住んでいてよかったと、ドイツに住む外国人として感じました。

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