今回はテニスの女王、大坂なおみ選手に関するドイツでの報道についてです。
ここ最近の活躍としては、1月26日の土曜日にオーストラリアオープンで優勝を果たし、現在テニス女子世界ランク1位に輝いていらっしゃいます。日本人はおろかアジア人初の快挙を成し遂げた、今まさにテニス界でもっとも注目を集めていると言っても過言ではない、大坂なおみ選手。
大坂なおみ 海外の反応 – 日清食品CM騒動に関するドイツの報道
ドイツの国民的ニュース番組「tagesschau (ターゲスシャオ) 」では、先日大坂なおみ選手のスポンサーである日清食品が製作したというアニメ版の広告動画で大坂なおみ選手の肌が実際より明らかに明るめに描かれているというスキャンダルと、それにより日清食品の株価が下がった件に関しての記事が公開されていました。
ドイツでもこのスキャンダルに注目している人は多いようで、日清食品の歴史など背景的な情報も含まれており、かなり長めで詳しい記事となっています。記事の一部を下記に訳して引用として使用させて頂きます。
ソーシャルメディアでは、アニメ風のPR動画についての議論が白熱している。「なぜ彼女の肌がこんなに明るいのか、誰も疑問視しなかったのか?」またコメントでは「彼女のアイデンティティーが完全に無視されてしまっている。」と書かれている。
PR動画は圧力を増している:日清の株価はこの騒動により水曜日には週の最安値となる53,19ユーロを記録した
tagesschau, “Skandal um Werbefilm mit Tennisstar Osaka: Nissin handelt sich mächtig Ärger ein“,Stand: 25.01.2019 13:33 Uhr
日本人は明るめの肌色が好き?
個人的な見解にはなりますが、日本では現実の人や物事をアニメ風や漫画風に描くとき本物よりも美化して描こうとする傾向にあると思います。そしてアニメや漫画の歴史的に見ても、例えばそのストーリーの「ヒロイン」になるような女性は、必ずと言っていいほど明るめの肌色をしている印象があります。
つまり、日清食品は悪気があって大坂なおみ選手の肌を実際より明るく描いたのではなく、あまり深く考えず盲目的にこういった「これまでのアニメや漫画を描く際の常識」的なものに従って、なんとなく大坂なおみ選手を美しめに描こうとした結果、肌色も明るくしてしまったのではないでしょうか。要は、ストレートに言えば日清食品の考え方が非常に古いのでは、と思います。
肌の色で人の美しさは決まらない
こういった考え方は、私は正しいと思いません。個人的には、肌の色がその人の見た目の美しさに影響することはないと思っています(肌の「美しさ」は必ず関係すると思います、もちろん)。
つまり、とても美しい人というのはどの民族、どの肌の色でも存在します。逆にとても醜い人というのも、どの民族/肌色にも存在します。私はこれまで様々な国から来た異なる人たちをこの目で沢山見てきたので、こう言い切ることができます。
そのため「肌色が明るい方が美しい」という考え方は、単に個人的な好みなのであればそれは個人の自由ですが現代の一般的な考え方や常識、共通認識という観点から言うと全く正しくないと思います。
そのため、この「日本のアニメ/漫画界の常識」的なものがあまりにも古臭くて現代的な考え方にそぐわないのだと思います。日清食品はPR動画を作る前に、こういった部分もよく考えるべきだったと思います。
アイデンティティ尊重の重要性
「美化しよう」とか「より日本人ぽく描こう」とか、考えてしまったことが誤りだったのではないでしょうか。「ありのまま」の大坂なおみ選手を描けば何も問題は起きなかったと思います。私が思うに、ありのままの大坂なおみ選手の方が美しいし世界を舞台に大活躍されていて大変輝いています。
とは言え、スポンサーである日清食品に悪気があったとは非常に考えにくく、過度な批判はちょっと気の毒かなとも思います。もちろん、今後気をつけなければならないのは確かですが。
言うまでもなく、ドイツでも日清食品の製品は幅広く普及しています。どんなローカルなスーパーに行っても、カップヌードルはほぼ必ず入手することができますよ(笑)しかも色んな味があります。
ドイツでも大坂なおみ選手のコートでの活躍はもちろん報道していますが、コートの外での話であるこの騒動がこんなにも詳しく長い記事で掲載されているのは、それだけドイツ人が大坂選手に注目している証拠だと思います。
大坂なおみ選手が大活躍されているからこそ、大坂なおみ選手に関係するこの騒動も大きく取り上げられていて、多くの人が話題にしている(大坂なおみ選手をサポートし、日清食品に疑問を抱いた)のだと思います。
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