メルケル首相が日本に到着されまして、早速ドイツでもその様子が報道されています。反応を見てみましょう。
安倍総理とメルケル首相はファーストネームで呼び合う仲
メルケル首相の訪日は約3年ぶりとのこと。ドイツの国民的ニュース番組「tagesschau (ターゲスシャオ) 」では、EUと日本の経済連携協定、通称EPA(Economic Partnership Agreement)が発効された今、ドイツと日本はどのようにして更に協力関係を深めていくのかについて詳しく報道されています。
記事の一部を下記に訳して引用として使用させて頂きます。
外国を訪問した際に礼儀正しく出迎えられるのはいつものこと。でも日本ほど特別に心から訪問を歓迎してくれるのは、首相にとっても稀なことだ。
アンゲラ・メルケルが春を呼び寄せた、と日本の総理大臣安倍晋三は、この季節には非常に珍しい17度の気温と日差しの注ぐ東京で述べた。お互いをファーストネームで呼び合う仲 − 晋三とアンゲラはお互いを良く知っており、相性も良い。
Tagesschau, Kanzlerin in Japan, “Merkel bringt den Frühling”, Stand: 04.02.2019 18:04 Uhr
東京は季節外れの暖かさ
ここ最近東京は季節外れの暖かさだそうですね。2月上旬で15度越えは確かに非常に珍しいのではと思います。日中は、上着なしで既に春のファッションが楽しめそうですね。
ドイツでは、つい先日まで毎日日中もマイナスの気温の時期が2週間ほど続いており、毎日外は至るところが凍っているか雪で真っ白かのどちらかでした。
ここ最近はその頃に比べるとかなり暖かく…と言ってもまだ4度とかなので、日本の春ムードは羨ましい限りです(笑)
東京エリアでは既に花粉が飛び始める可能性もあるとか…?完全に3月中旬て感じですね!
日独はどうやって協力関係を深めていくのか?ドイツは日本に対し批判的な時も多い
メルケル首相と安倍総理の仲がそんなに良いというのは少し意外に感じました。メルケル首相、というかドイツは国として、日本を結構真剣に批判する機会がこれまで度々あったからです。
典型的なのは、歴史認識と原発でしょうか。
ドイツと日本の歴史認識
戦後の歴史認識、特に日本の中国・韓国との関係については、ドイツはイスラエル等ユダヤ教徒との関係において多かれ少なかれ似たような経験があり、しかもそれを努力を重ねて上手く克服してきたことから、今も中韓との関係がギクシャクしがちな日本を相手に「私たちを見習いなさい」という意識が強くあると思います。
福島の原発事故
原発事故についてはドイツ人は経験はないものの、地理的に近かった(とはいえ1,500 km以上離れていますが)チェルノブイリ時代をドイツ人はよく覚えているため、また元々原発に懐疑的であったため、福島の事故をドイツはものすごく深刻に捉えました。
実際よりネガティブに捉えてないか、と思う時がある程です。それくらい、ドイツ人は原発事故を恐れているということです。もちろん大前提として、ドイツは日本をよく発展した信頼できる国として好印象を抱いています。
だからこそ「日本ほどの国でさえ大惨事を防ぐことができなかった」と、福島の事故をものすごく怖がっています。
ドイツは中国重視
2005年に就任して以来、メルケル首相の訪日は5度目。その一方で中国には既に11回訪問しているそうで、この差から見てもドイツは「アジアなら中国」を最重視した政治を行っているという印象を、ドイツに住んで報道を見聞きしていると強く感じます。
中国は経済的に急成長を遂げ、今や世界第2位の経済大国(人口においてももちろん文字通り大国)ですからね。
日本を重要視して来なかったのではなく、日本との関係は既に十分良好で安定している、という意味合いでドイツ政府はこれまで日本より中国に注力してきたようです(実際のところはどうなのかわかりませんが)。
それもあって、最近ドイツが日本を重視し始めているな、というのは感じます。
でも自国の利益ばかり追求したいアメリカ・中国により国際貿易が危機に陥っている今、EUと日本 − 特に自由貿易、多国間主義以外にも環境保護などの分野において共通の価値観を見出すドイツと日本がより絆を深めようとするのは、わかる気がします。
ドイツと日本はサイバー防衛の分野でも協調
自由貿易と環境政策以外にも、ドイツ政府としては倫理あるデータの扱い方に関する取り組みを更に推進したい意向とのこと。この分野でもドイツと日本は協力していきたいとのことです。
経済だけでなく、政治的にもドイツと日本はパートナーシップを深めたい。… 具体的にはサイバー防衛のトピックにおいての協力だ。それに加え、ドイツ政府は北朝鮮の持続可能な非核化に向けて日本をサポートしていきたい。
TAGESSCHAU, KANZLERIN IN JAPAN, “MERKEL BRINGT DEN FRÜHLING”, STAND: 04.02.2019 18:04 UHR
データに関しては、EUでは2018年5月からEU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation、通称GDPR)が発効し個人情報などのデータの取り扱いに関して一層厳しくなった(=EUは倫理あるデータの扱いをより重視する流れにある)ことも背景にあると思います。
それだけでなく、データ利用の将来について考えた時にAI開発に必要な膨大なデータ収集が必須となってくることから、この分野で米中に遅れをとっている日独は安全なデータ網の整備を進めたい意向だと見て取れます。この分野は今後どう発展していくか、楽しみですね。
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